海外でイタリアといえばパスタとピザ(笑)

イタリア国内におけるピッツェリアと呼ばれるピザ専門もしくはピザを中心に提供しているレストランの数はかなりのものだ。ナポリピザやローマピザというその土地特有の種類に特化したピッツェリアもあれば、ごく普通のピッツェリアもある。イタリアでは、昨今アレルギーの問題を抱える人が増えている。中でも代表的なものが小麦アレルギーと乳製品アレルギー。そこでグルテンフリーのピザを提供するピッツェリアもある。

わたしがイタリアに住み始めた2000年の頃も既にグルテンフリーの生地を使ったピザを提供するピッツェリアでないと外でピザが食べられないと言っていた友人が何人かいた。でも当時は従来のピザではなくグルテンフリーのピザを提供するピッツェリアは片手で数えるほどで、ミラノのような大都市にはあったが、小さい町では皆無であった為、ピザを食べるにはグルテンフリーの粉を使って自宅で生地から作っている人が多かった。

子供達の間でも小麦アレルギーが増えて、次第にグルテンフリーのニーズもより増えてきた近年。

またグルテンフリーとは別に、日本でも昨今パンなどで話題になっている天然酵母。小麦粉やライ麦粉に水を混ぜ合わせて、自然発酵させた天然酵母の一種であるサワードウ(lievito madre vivo)を元種に作るサワードウピザのピッツェリアがミラノだけでも5店舗、イタリア国内に全部で19店舗あるボローニャで生まれたBERBERÈ(ベルベレ)をご紹介したい。2010年、アロエ兄弟のアイデアからボローニャで誕生したインディペンデント系ピッツェリアで、美味しい食べ物やみんなで一緒に集う文化を愛する人々によって作られたBERBERÈ。

フィオルディラッテや水牛のモッツァレラチーズなど農場から私たちの厨房に至るまで、すべての工程において専門家達によって丁寧に生産され、小麦粉、トマト、オリーブオイル、ワインなどは全て良質なオーガニック製品で新鮮なものを使っているという。 「40年以上有機農業を営む農家アルチェ・ネロとともに、私たちのピザに適した小麦粉を完成させました。 石臼で挽いた半全粒粉で、小麦の繊維、ビタミン、微量元素を維持しているため、精製されたものよりも栄養価が高いのです。」小麦粉、水、サワードウ・スターターから毎日、各店舗で生地を仕込み、20度から24度の室温で24時間休ませた結果、ピザの内側は柔らかく、外側はパリッとした食感が生まれるそうだ。

クラッシックなサワードウ（0.2%）とエミリア・ロマーニャの畑で採れたオーガニックのタイプ1の小麦粉のみを使用し、24時間発酵させた生地以外にもイーストを加えず、澱粉を加水分解し、小麦粉を自家発酵させた生地やムリーノ・マリーノが厳選した8種類の小麦粉と4種類の種子を使用した、持続可能でバランスのとれた多穀物パン生地「ビオディヴェルソ」という生地の3種類がローテーションで提供されている。なかでも加水分解した生地は、ほとんど魔法のような超軽量で全くもって胃がもたれないので、わたしのお気に入りだ。

通常イタリア人はホールのピザを一人一枚食べるのだが、BERBERÈのメニューには、食卓を囲むすべての人がさまざまな味を試すことができるようシェアをオススメしますと書かれている。これまた通常のピッツェリアではわざわざ頼まないとカットされた状態で出てくることはないが、BERBERÈでは８枚にカットされた状態でサーブされる為、シェアした方がより美味しく感じるのだそうだ。最後にこのピッツェリアに行ったら試してほしいものがある。それはMontanarine fritte。揚げたピザ生地が4種類のバージョンで楽しめるのだが、これがとっても美味しい。健康に気をつかうミラネーゼ達が通うBERBERÈ にも是非行ってほしいが、日本でもサワードウの美味しいピザ屋がある。伊豆半島は下田にあるFermenCo.だ。美しい海を見ながら是非食べに行ってみてはいかがだろうか。