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May. 2020
世の中が突如止まってしまう現象をひき起こしてしまった世界的パンデミック、コロナウィルスの影響を受けて、ミラノも2月の終わりから学校が休校になったことを皮切りに、3月11日より外食産業を始め商店などの営業がストップしてしまった。物理的なものがストップしてしまっただけでなく、精神的にも機能が低下してしまったのは、私だけではないと思う。外出制限が出て、自宅から200mまでのエリアのみでの行動を要請され、From MILANOの投稿が停滞してしまうという具合に影響が出てしまった。5月に入り、ようやく少しずつ緩和されつつあるミラノ。今が一番外に出るのに快適な季節だけに、ようやく家に閉じこもる生活から解放されるかと思うと嬉しい反面、少し出かけるのも緊張してしまう。 自分で作るお家ごはんにもそろそろ飽きてきたこの頃、美味しく身体に優しいお料理を自宅で食べられるのは、元気が出て免疫力アップにもなる。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
このコロナ禍の中、長年引き出しに閉まってきた夢をご主人と共に実現した女性がいる。京都で育った在日コリアン3世のオッキさん(写真右)。ミラノ在住歴24年。約20年間ミラノで貿易会社を営み、携わっていたのは主にアパレル業界だったというオッキさんと私が出逢ったのは、コロナウィルスの初の感染者が北イタリアで出た直後。友人から、「私の友人で、自宅で韓国の宮廷料理を振舞ってくれる女性がいて、毎回二名限定だから一緒にどう?」と誘いを受けたことがきっかけ。『おっき食堂』という名で友人達の間で大評判の自宅レストランは、食器から盛り付けそして音楽のセレクトと全てがとてもセンスがよく、すぐにオッキファンになってしまった私。その時に、4月の頭に長年の夢が叶ってナヴィリオ地区に韓国デリをオープンする予定だと聞いたのだ。内装プロジェクトを専門家の方と進めていた最中にロックダウンに入ってしまい、全てが中止に。結果コロナウィルスの猛威のせいで、オープンが遅れてしまったのだが、それでもたったの約2週間遅れで、4月末にお店をオープン。「ロックダウン中に営業可能だったテイクアウト店舗ということもあり、また家に閉じこもっている人々に少しでも食で希望と幸せを味わってもらいたいという一心で最低限で内装をしてみようと主人と話し合い、ブレラ大学舞台美術卒業の主人と一緒に内装全てを二人だけで短期間で作り上げたのよ。だからロックダウン中でもオープンできたのよね。」とオッキさん。早朝から夜遅くまでそれはそれは大変だったそうだが、そのような状況の中で知恵を振り絞り、二人で作り上げていく空間を見て毎日とても楽しい期間だったと振り返る。
週末の夜にはたくさんの人達が運河沿いに繰り出すナヴィリオ地区。(写真1)レストランやピッツェリア、バーなどが並ぶ賑やかなエリアで、オシャレで落ち着きのある空間li-sei deliは、一際目を引く。一歩お店の中に入ると、心地よい音楽で迎えられ、ずっとここにいたい、そんな気分にさせられる。店内には、野花とヴィンテージ雑貨を上手にデコレーションするというお花屋さんClori Milanoの素敵なお花が飾られている。デリの大ファンになってしまったCloriのオーナー、フランチェスカが自ら毎週花パワーと華やかさを届けてくれるのだそう。毎週新鮮なお花がとどけられるとアレンジメントをするのは大のお花好きであるオッキさん自身。オープンにあたって、毎日お花は欠かさないようにしていると言う。それは、世界中どこに行っても生花がある飲食店はいつも清潔感が漂うからなのだそうだ。 li-sei deliのメニューに描かれたイラスト(テーブル上に置かれたもの)がまた優しいお料理を表現していて、どなたが描いたものかを聞くと、「とある忘年会でたまたま知り合った日本人のKieさんという女性でね、彼女の作品を見せてもらっていたら、あ、この人、食に興味がある人だわ、食べることが大好きな人だわ。ってすぐに分かって聞いてみたらそうで、意気投合してお店をオープンしたら彼女にイラストを描いてもらおう!って決めたの。」と。素敵なご縁を引き寄せるのは、オッキさんの手から生み出される美しく身体に優しいお料理はもちろんのこと、「食べることが大好きなの〜」と満面の笑みで明るくお話される彼女自身の愛に溢れた魅力的な人柄ゆえだと思う。
小さいミニチュアフィギュアを集めたり自分で作るのが大好きだというオッキさん。店内にもコレクションの一部が飾られているのだが、ご自宅で見せていただいたものは圧巻。 オッキさんのお母様も京都でGallery 李青という李朝喫茶を二軒経営されているそうで、オッキさんの料理に対する情熱は、お料理上手なお母様あって育まれたもの。お母様の影響で古い物や料理が好きでミラノでもお母様のように文化交流ができる場所を設け、特に食でイタリアの人々に韓国文化を知ってもらえたらという願いのもとオープンしたli-sei deliは、お母様のお店のミラノ店という意味も込められている。お母様経営の京都のお店もそれはそれは素敵だと私の友人達が絶賛しているので、次回の帰国時には是非足を運んでみたいものだ。店内には、彼女のルーツを感じさせるものが置かれている。シックな韓国箪笥や、お祖父様が創設者だという高麗美術館のポスター、民族信仰で新年の作物の豊穣を祈願するためのソッテというお人形などなど。そしてまだオッキさんと知り合って日が浅いとはいえ、音楽の趣味が合うと勝手に思っているほど、彼女のセレクトするBGMはとてもいい。午前中は、必ずクラッシックに始まり、最近は、北欧の癒し系音楽がお気に入りだそうだ。そして午後、街が賑やかになってくるとボサノヴァだったりフレンチシャンソンだったりとその日の気分でかける曲を決めているという。かかっている音楽が自分好みだとそれだけでその場所に長居をしたくなる私にとって、ロックダウンが解けて、お店で食事ができるようになった暁には、頻繁に通ってしまう予感がしている。
オッキさんのミラノでのお気に入りの場所、オススメのスポットを教えていただいた。 ブレラ地区にあるアンティークショップ、Antichita San Marco。店主のブルーノさんは、83歳で現役。モデナから出稼ぎでミラノに来て、一代で築き上げた50年以上の歴史のある骨董店。オッキさんは、2代目のマルコと仲良しで、いつも倉庫から掘り出し物を見つけては譲っていただいているのだとか。「他では、見かけない骨董がたくさん埋まっているので、隅々まで探してハッと驚くものを見つけるのが楽しいの!」とオッキさん。 毎週お花を屆けてくれるClori Milanoの隣の敷地内にあるe/n enoteca naturaleというナチュラルワイン専門店もオススメだそう。ワインはもちろん軽いおつまみまでもこだわった素敵なカジュアルワインバーで、老若男女でいつも賑わっているという。また、ここのシェフの一人がキムチもつける淒腕らしく、朝食によくキムチおにぎりを買いにli-sei deliに立ち寄ってくれると嬉しそうに語っていた。 アパレルの仕事にも関わりがあったオッキさんにイタリアンファッションについて聞いてみたところ、「イタリアンファッションで特に好きなのは高くても良質なものを長く大切にするという事」だそうで、自身も、デザインはシンプルで飽きないデザインのもの、全てダーク系で素材を重視するというこだわりを持っているようだ。
「li-sei deliのこだわりは、一言で言えば薬膳料理。健康的で免疫力を上げる食べ物なの。」とオッキさん。小さい頃からお母様の手料理は、野菜がメインで、それぞれの野菜の素材を活かすために味付けは薄味だったという。そして、キムチは常に食卓にあり、そのおかげで、ご家族皆常に健康で風邪知らずだったそう。 季節のお野菜たっぷり、栄養豊富で万能な健康食の一品であるというビビンバや、写真にあるarcobaleno sand (虹サンド)などなど、メニューの全てが見た目も大変美しく魅力的だ。日本育ちのオッキさんならでは、ただの韓国デリではなく、雑穀米おにぎりや鳥の唐揚げなど、懐かしい日本の味も楽しめる。そして、幼い頃からお菓子作りも大好きだったオッキさんが、これまでの海外旅行で得た色々なアイディアを活かして作るイタリアではあまり見かけない甘さ控え目な薬膳ケーキも見逃せない。おそらく当分の間は、レストランに足を運ぶのは慎重になり、テイクアウトやデリバリーでお家ご飯を楽しむ日々が続くことになるであろうミラノ。まだまだ不安な気持ちでいて、心身ともに疲れを感じることも多い中、身体に優しくエネルギーに満ちたli-sei deliのお料理をいただけば元気になり幸せを感じること間違いなし。今後自由に海外渡航が可能になって、日本の皆さんがミラノへいらっしゃることがあれば、ミラノで行くべき食事処リストに是非!
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