2月。あちこちにハートマークが溢れるMese dell’amore(愛の月間)。

イタリアのヴァレンタインデーは、日本のヴァレンタインとは違って男性が愛する女性にプレゼントを贈るのが慣わし。いつ誰がこの習慣を作ったのかはさておき、いつの時代もジュエリーをプレゼントに受け取って嬉しくない女性はいないはず。それがヴァレンタインなどの機会ではなくて、サプライズであれば更に嬉しいもの。大人のオシャレを楽しむ女性にさりげないシンプルでエレガントなジュエリーを探し求めるならここ。ミラノに二店のお店を構えるAtelier VM。

Atelier VMのジュエリーは、シンプルだけれどオリジナリティに溢れ、軽やかで優しい。

Atelier VMは、錬金術という魅惑の世界への情熱が結んだマルタとヴィオラという二人の女性の友情から生まれた。貴金属や石が様々な変容を遂げ、女性が身につけたいと思う、また贈られたら嬉しいと思う小さなジュエリーを生み出す、それはまさにアート。一つ一つの作品にそれぞれのストーリーがある。大人でありながら子供のような遊び心を持つ彼女達が生み出す作品は、クリエイトすることへの純粋な愛を感じ、ポエティックだ。

昨年20周年を迎えた際、ミラノに二号店をオープン。(写真1)

ミラノの高層ビルが立ち並ぶ地区にもほど近く、目の前にはサンタ・マリア・インコロナータ教会が佇む。

お店の中へ一歩足を踏み入れると、柔らかい光が差し込む優しい空間に包み込まれる。展示はとてもミニマルだが、店員の女性が引き出しを開けるとそこにはAtelier VMの世界が広がる。気になるジュエリーの品を伝えると、一つ一つ丁寧に日本の着物の生地で作られたお盆(写真5)にのせて見せてくれる。エレガントで時にウィットに富んだ展示から店内に置かれたもの全てにおいてこだわり尽くされ、それらが見事に調和している。

私がAtelier VMに出会ったのは、2014年。

L’Essenzialeというブランドのアイコンの一つであるブレスレットが誕生した年。

華奢な18kゴールドのチェーン(写真)を手首の上で直接レーザー接合する完璧な輪、留め金具の無い究極にシンプルなブレスレット。

L’Essenzialeは単なるシンプルなジュエリーではなく、L’amore saldato (揺るぎない愛)、永遠の愛、絆というメッセージが込められている。ブレスレットが身体の一部となり、まるで動くタトゥーのようだ。そしてL’Essenzialeという名の如く「なくてはならないもの」となる。

ブレスレットが自分のものとなるまでの工程に参加できるのもL’Essenzialeの魅力の一つ。まず手首のサイズを測ってもらう。選んだチェーンを手首の長さに見合った長さに切ったものをお盆にのせて、小さな椅子が置かれた場所へ誘導される。(写真6)そこに腰掛けて、自らの手首を委ねる。

パートナーと共に訪れる人、サプライズでプレゼントとしてカードを受け取った人が訪れる、自分自身の記念にと訪れる人、またお友達と一緒に訪れて友情の証にみんなでL’Essenzialeを選ぶ… そしてみんなが手首に揺るぎない愛をまとう。

誕生してからミラノだけではなく、パリやロンドンの名だたるデパートのコーナーでも入手可能となったL’Essenziale。日本に上陸する日もそれほど遠くはないかもしれない。