おそらく世界中の大きい都市ならどの街にもあるであろうチャイナタウン。規模は小さいながらもミラノにもある。チャイナタウンといえば、どこか雑然としている感じがして一歩踏み込むとここは中国かと思ってしまう印象。ミラノのチャイナタウンももちろん中国語の看板が出ているお店が並んでいたりと、そのエリアは中国のようだが、イタリアならではの西洋式歴史的建造物がそのまま残っていたり、そうかと思えば新しい建物に出来たオシャレなスポットもある。中国らしい雑多なエリアに隣接したオシャレスポットが続々と出来て今このエリアは熱いと密かに思っている。このエリアに詳しいロッセッラ(写真)。Miu Miuで働き始めて半年にして全世界における店舗でのベストセラーに選ばれた彼女。現在はバックオフィスにてキレのある仕事ぶりを発揮し、もうすぐ二人目の男の子を出産予定のワーキングマザー。

英語に加えて中国語を流暢に操る彼女がチャイナタウンエリアで一番お気に入りの場所CERESIO 7 POOLS & RESTAURANT(写真1、2、3)。ここはDsquared2グループの本社がある建物の屋上。チャイナタウンに近いモニュメンターレ墓地の素晴らしい建物やミラノが一望できる、プールがあるバーとレストランだ。プールは、レストランを挟んで二つあり、アメリカンバーに近いプールはプールサイドでアペリティーボやお茶を楽しめるスペース、もう一つは、110ユーロ分の食事や飲み物をオーダーすることで、6月より10時から17時半までプールで泳ぎ、食事をし、寛ぐことができるという贅沢なスペース。

広いレストランスペースに加えて、緑とミラノのパノラマを楽しみながらエリオ・シローニシェフの洗練されたシンプルでオーセンティックな料理を楽しむことができる素敵なテラス席もある。また食事前のアペリティーボ、食後に飲む多数の珍しいオリジナルカクテルを提供するアメリカンバーは、ロッセッラのご主人でもあるグリエルモ・ミリエッロ総支配人が指揮をとっている。昨年の誕生日を親友達と共にプールサイドでアペリティーボを頂きながら祝ったのだが、暑くなりだすミラノの初夏の夜、心地よい風が吹く中プールを眺めて目でも涼を感じてとても幸せな気分を味わった。

中国に住んで仕事をした経験もあるロッセッラ。「幼い頃から特に勉強をせずとも授業中に先生の話を集中して聞くだけで全てを記憶することができる能力があったの。だからその事に気付いてその力を使わないのは勿体無いと思って、自分が住んでいた町はプーリアのすっごく小さな田舎町だったけど、学校以外でも英語を習ってまずは英語を習得したのよ。その後他の人と差を付けるならみんなが簡単に出来ない言語が出来た方がいいと思って、大学はベネチアにあるカ・フォスカリで中国語を勉強する事にしたの。この大学では卒業する前に数ヶ月中国で過ごす事が必須になっていて、その経験を踏まないと卒業できない仕組みになっているのだけれど、多くのイタリア人のクラスメイト達が中国に行った途端、あまりのカルチャーギャップに衝撃を受けて、中国語をやりたくなくなった中、私は何故か自然に溶け込めた。だから卒業後も中国で仕事をしたいと思ったのよ。」と自分のこれまで歩んできた道を振り返りながら語ってくれた。

そんな彼女の住まいはもちろんチャイナタウンからほど近い場所。「中国にまた住みたいという気持ちは強い。でも子供がいる今は難しいとも思っているから、せめて家の近くで中国の雰囲気を感じられたら。」と自宅を選んだのだそう。チャイナタウンはパオロサルピという通りを中心として広がっているのだが、「この通りにあるラビオリ(水餃子)が大好き！！」とロッセッラ。買ったその場で食べられるストリートフードとしてお気に入りだと言う。同じお店で何軒どなりでは、熱々の肉まんも食べられる(写真)。ここの肉まんは肉にも使っている原料にもこだわっていて全てイタリア産。出来たてを食べるとジューシーな肉汁が味わえ、日本で食べる肉まんにも劣らない味でおすすめだ。もちろんテイクアウトをして蒸籠で5分温めてもホクホクの肉まんをお家で楽しめるのだが、残念ながら店先で食べる時のような肉汁は味わえない。

そして彼女が教えてくれたチャイナタウンにあるスタバ感覚で利用できるカフェChateau Dufan。学生は何時間でもカフェ一杯で勉強したり、仕事をすることもできると言う。更に最近の彼女の一番のお気に入りはHotel VIU(写真)の最上階にあるテラスでゆったりと朝食をとることなのだそう。「ここはミラノで唯一屋外プールがあるホテルなの。ホテル宿泊客でなくても外部のゲストも朝食を楽しむことができるのがとても魅力的。地上階にあるレストランではミシュラン二つ星のジャンカルロ・モレッリシェフのお料理を頂ける。そこの日曜ブランチもおすすめよ。昨年はMiu Miuの約10名ほどのお得意様をお招きして、プライベートな素敵な空間のシェフテーブルでクリスマスランチを企画したわ。」とロッセッラ。早速彼女のお気に入りだというテラスで朝食をとってみた。秋には珍しい良いお天気で、テラス席では数名のビジネスマンが朝食をとりながらミーティングする姿も見受けられた。時間が優雅に流れる空間。ミラノのチャイナタウンエリア、今後も見逃せない。