今最も旬なミラノの情報をお届けいたします。
January. 2019
イタリアでは、新年が明けてすぐ、2日から通常営業となる。
そして、公現祭の日(6日)を境にセール開始。シーズン初めに目を付けた通常お値段の張る品をセールで手に入れる方もいるだろう。私は、個人的にいつも同じようなスタイルのお洋服しか着ないことから、ヘビーローテションであるアイテムで何枚持っていてもよいもの、素材の良い紺色のニットをセールで手に入れるか、サイズの変わらない靴をセールを機に新調するということが多い。靴といえば、イタリア。昔から丁寧な仕事をする靴職人がおり、人々も丁寧に靴を取り扱い、イタリア人の足元は実に美しい。
ここミラノでも、沢山の靴屋を見かける。もちろん高級ブランドの靴メーカーに始まり、安価なものまで多岐に渡るのだが、一つ一つ丁寧に作られたオーダーメードの靴屋は、今ではとても少なくなっている。
オーダーメードであれば履く人に合わせて作られたものだから履き心地が良いのは当然。
既に出来上がった靴で、履き心地の良い靴に出会えたらこんなに嬉しいことはない。
ドゥオモから徒歩5分もかからない場所にあるSan Maurilio Calzature。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
外に看板も無ければ、ウィンドウにはただ整然とシンプルに靴が並んでいるだけのお店。
店内にもほとんど靴は飾られておらず、沢山の箱が並んでいるどちらかと言えば殺風景なお店。
でもここの靴は素晴らしい。
冬の北イタリアは、寒さを足の底から感じる故、ここ数年、冬になると近年ミラネーゼに大人気のメーカーのサイドゴアブーツを手放せない私だが、最近、少しヒールの高いエレガントなショートブーツが欲しいと思っていた。クラシックなモデルで柔らかい皮が使われた履き心地の良い靴ならここに行けば見つかるはずと思い、ひさしぶりに足を運んでみた。自分が探している靴の特徴を伝えると次々と色々なブーツを出してくれる。履いてみると、足にピッタリと吸い付くようで自分の足の一部のようになる柔らかい皮。また、靴によって合うサイズが違うのだが、ブーツを履いた私の足を見て、心の中でこの靴は中で足が動くなと思っていた私が声を出す前に、『このモデルは、ハーフサイズ小さい方がいいと思うわ。」とすぐに的確なアドバイスをくれるミケーラさん。
このお店は、歴史ある靴屋さんだと私がミラノに住み始めた18年前に当時同じ通りに住んでいた友人が教えてくれ、それ以来、私も日本に住む私の母もお気に入りで、時折足を運ぶ。ミケーラさんにお話を伺った所、お店がスタートしたのは1933年。現在も工場があるミラノから25キロほど離れたミラノ県にあるチェロ・マッジョーレという街で、おじいさんが始めた当時は、紳士靴、そして戦争で履く兵士達の靴を作っていたとか。そして戦後2人の老紳士が、現在お店がある同じ通りの19番地で、紳士靴を売り始めた。その後ミケーラさんの父であるピエリーノさん(写真)が靴デザイナーとして二人の兄弟と共に父親の靴職人としての仕事を引き継いだそうだ。
80年代に入ると、紳士靴に併せて婦人靴も作るようになったが、今ではほぼ婦人靴のみ。
ピエリーノさん率いるSan Maurilio Calzatureの仕事の大部分は、高級ブランド靴の製造。ここでは名前を挙げることを控えるが、オシャレな女子であれば一度は履いてみたいと夢見るブランドの5cmヒールまでのローヒールラインを手がけているのだとか!かつて紳士靴を作っていた時には、映画監督ルキーノ・ヴィスコンティの靴も作られたそうだ。全て手仕事、そして自然の素材を使うことにこだわってイタリアの靴づくりの芸術に貢献してきたピエリーノさん。
写真は、Tタイプと呼ばれるフェミニンな型の靴だが、こちらは20年代、30年代のスタイルを時代遅れにならないように現代のスタイルに合うように少し変化させたもの。このモデルは、こちらのお店オリジナルで昔から提案し続けている一点。
「ミラノは、ファッションの街。街を歩けば巷にはグラマラスな靴がいっぱい溢れているわ。でもこのお店では、トレンドも程よく取り入れつつ、飽きのこないクラシックなスタイルで、朝から晩まで履いていても疲れない靴をみなさんにご提供できるよう努めています。」とミケーラさん。
私が靴を試着していると、後から後から客足が絶えない。ご年配のご婦人は、「少しヒールがあって疲れないブーツを探しているの。色は茶色がいいわ。」と言った。すると要望に見合った品がさっと出てくる。
バイクで颯爽とやって来たおそらく40代の女性は、あらかじめウィンドウで好みの靴をチェックしていて、次から次へと試していた。そして、「ここの靴は、本当に履き心地がいい。軽いし、仕事をするにも最適。セールの度にまとめて何足も購入していて、今までの靴を徐々に処分して私の靴箱はだんだんここの靴のみになってきているわ。ああ、欲しい靴が多すぎて困っちゃう。すっごくおまけしてもらえたら沢山買うわ!」とチャーミングに微笑みながら話していた。
巷に靴屋は星の数あれど、自分の足にピッタリと合う靴を的確に判断してじっくりとアドバイスをしてくれる店はどれだけあるだろう。
「スエードの靴には、やっぱりゴム付きのスエード用のブラシでのお手入れがいいのかしら?」と聞くと、「それより柔らかい毛のブラシの方がいいわよ。」と教えてくれた。「靴のお手入れグッズもこちらで販売している?」と聞けば、「靴の修理や靴まわりのグッズが豊富に揃う良いお店があるの。Turiという所。良い仕事をするお店よ。」とミケーラさん。靴文化の国では、良い靴を大切に履く習慣が根付いているだけあって、こうした靴の修理屋さんも沢山ある。
秋冬は、モカシンおよびブーツが主流だが、春夏はこれまた履き心地の良い色とりどりのサンダルがお店に並ぶ。
今回、希望通りのショートブーツが手に入ったので、次回はサンダル?
毎日長時間履く靴。自分の足にフィットする一足に出会えたら最高だ。気分も新たに新しい一足で始める一年。2019年も皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう!
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