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December. 2023
ミラノはモンテナポレオーネ通りに1954年から工房を構える人間国宝級のジュエリー職人チェーザレ・デ・ヴェッキの作品に東京で出会った。一際わたしの目を惹いたのは、アール・ヌーヴォーそしてアール・デコの形、色、雰囲気を想起させるブローチだった。博物館に展示されるようなアンティークでもちろん全て手作業による非常に緻密で繊細な造りのブローチの虜になったわたしに、「デ・ヴェッキのブローチは、最もグラマラスなラインのひとつで、洗練されたスタイルに欠かせない引き立て役だと考えられているのです。見てください、この繊細な技術。これは素晴らしい芸術作品です。」とデ・ヴェッキの作品の取り扱いを任されているD’Elia(デリア)社の代表アルフォンソ・ヴィティエッロ氏は語る。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
東京に住むイタリア人で友人エレナの紹介で知り合った、ナポリにほど近い風光明媚な海辺の町トッレ・ディ・グレコで8世代に渡って続く宝飾店D’Elia社(1790年創業)のアルフォンソ。彼の先祖は、地中海で獲れる珊瑚そしてカメオを日本に紹介、そして日本を代表するミキモトの養殖真珠を世界に初めて広めたのだそうだ。
「写真は、1921年に高松宮宣仁親王殿下がナポリとローマを訪問された際に、第一次世界大戦中に日本との友好関係を築き、日本経済を支えてくれたデリア=ヴィティエッロ家に感謝するためにと、慣例を破ってトッレ・ディ・グレコにある我が家に来てくださった時のものです。今は売却してしまいましたが、わたしの祖先は神戸の異人街地区に家も持っていて、日本とは古くからのお付き合いなのです。」とアルフォンソ。
アルフォンソは、毎年、数回日本を訪れており、和光などの特別顧客向けに宝飾品を紹介している。自社のジュエリーはもちろんのこと、先に紹介したチェーザレ・デ・ヴェッキの作品の素晴らしさをより多くの人々に知って欲しいという情熱を持って世界を股にかけて活動している。アルフォンソの従兄弟で、当時D’Elia USAの代表を務めていたバルトロは、一族の友人である養殖アコヤ真珠を発明した御子本幸吉から鳥羽に来て欲しいと言われ、その際、直々に日本の海の宝石である真珠をアメリカおよび世界に広めた真珠大使としてD’Elia家を承認することを望んだという。
女優のグレース・ケリー(写真の中で身につけている真珠のネックレスはD’Elia社製)をはじめ、一族の友人であり忠実な顧客であったジャクリーヌ・ドゥ・ブーヴィエがJ・F・ケネディとのウェディングの折そして私生活で、また映画「ティファニーで朝食を」ではオードリー・ヘプバーンの装飾品を担当するなどD’Elia社が取り扱う日本のパールを身につけたセレブは数知れず。
歴史あるイタリアンジュエリーにはカメオ同様に欠かせない珊瑚。D’Elia社で扱う赤い地中海珊瑚は、サスティナブルなエコシステムのもと獲れたもの。サルデーニャでは、珊瑚を漁獲できる期間(5月1日から10月15日まで)を限定しており、許可されているのはそのうちの20日から25日までと限られているため、サルデーニャの赤珊瑚は良好な生態学的状態を享受しているのだそうだ。
2011年、半世紀にわたってイタリアの歴史に貢献した企業150社のうちの1社として表彰されたD'Elia 1790。「新たな挑戦を受け入れ、予期せぬ要因や状況に邪魔されないようにすることで、事業を安定させなければならない。自分の行動に責任を持ち、レガシーを持たず、恐れることなく前進しなければならない。その一方で、16世紀、日本が人々の想像の中でさえ遠い場所であった時代に、予想しうるあらゆる困難に逆らって、神話に登場するシルクロードを旅し、原産地で原料を選別することを選んだ一族を背後に持つのであれば、それはプロフェッショナリズムの考え方の基礎となるものでしかない。」とはD’Elia社5代目の言葉。写真はD’Elia社製のカメオとエナメル、貴石の組み合わせで出来たマーガレットの花がモチーフの可愛らしいブローチ。
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